そう言うと男は、視線を動かし、少し後ろを振り返る。
……いつの間にか、男のそばには少女が立っていた。
部屋がうす暗いこともあり、はっきりとは見えないが、年齢は10ばかりだろうか……
出で立ちは和風ではあるが決して古めかしいわけではない。
顔色は決していいほうではなく、無機質といった表現が合うような感じではあった。
少し驚いた様子で、彼は言った。
「……申し訳ないね、娘さんがいたとは気が付かなかった」
男の顔色が少し曇ったような気がした。
彼はその少女には全く興味がない様子で、さらに続けた。
「もちろんそれなりの報酬はいただくが、それでもかまわんということかな?」