episode1/第一夜

「え、その子はいったい? 手に持っているのは……ライフル……ですか?」 緒方の腕が、狙いを定めるかのようにゆっくりと、あがっていく。 「え!? 何をなさるんです?」 「私ではなく、夫を殺していただきたいんですが」 緒方はまたゆっくりと、言葉を発する。 「ええ、その依頼はお受けいたしました、ご主人」 影の曖昧な感覚が、曖昧な「におい」を感じ取る。

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