臭いが思い出したくない記憶を強制的に掘り起こす。 緒方の目の前には、女性の衣服をまとった、男が立っている。 その衣服は血の色に染まっていた。 そして男の足元にはすでに息絶えた女の遺体が横たわっていた。 その表情は苦悶に満ちていた。 部屋のいたるところに血だまりが存在し、 そしてむせかえるように充満するこの臭い、そう……血の臭い…… 血の臭いが男の記憶をすべて呼び起こす。 「私はわたしを……妻を……殺した…… でも、なぜ……妻を……そうだ、マインド……」