その部屋の入り口に張られた立ち入り禁止の黄色いテープが、殺人事件を示していた。
中にいた青年がおどけた口調で話しかける。
「鎌田さん、だめです、話は聞けないっすね。MINDかぁ……」
年配の男がめんどくさそうに答える。
「あぁ、そうだろうよ……それにしたってひでえもんだなこの部屋」
「ひどい有様っすよ、遺体のほうも……でもなぁ……」
「どうした、なにかあったのか」
「うーん、気のせいですかねぇ、被害者なんすけど、なんかこう笑ってるようにみえちゃって」
「はぁ……わけわかんねえこと言ってねえで、さっさと仕事してこい!」
「あ、はいはい、わかりました」
青年は小走りにその場を立ち去る。