語句自体も曖昧で、におい、匂い、臭い……
それらがすべて、同じものを表現しているにも関わらず、様々な呼称が存在している。
また、「におい」というものに明確な基準があるわけではなく、
ある人には良香と感じる「匂い」でも、
ある人にとっては悪臭と感じる「臭い」ということもありえる。
臭気指数というものもあるのだそうだが、数値によって判断できることではないように思える。
要するに、「におい」というものは明確ではなく曖昧……
はっきりしているものではなく、確かなものでもないということだ。
だが、そんな曖昧なものであるがゆえに、
さらに曖昧な存在である記憶と深い結びつきがある、という話がある。