そして今、緒方は影と対峙している。 部屋には「におい」が漂っている。 「あなたが……依頼されるのですね」 緒方はゆっくりと言葉を発する。 影が音を発した。 「はい、おそらく、私は夫に……殺されてしまうのでしょう……」 「勘違いなさらないでね……死ぬことが怖いわけではないんです」 「私が死んでしまって、あの人が罪人として一人で生き続ける……それが私には耐えられません」 「ですから……私にもしものことがあったら、夫を……殺していただけませんか」