表通りから少し入った、無秩序に立ち並ぶ雑居ビルの隙間にある横道。
そこには人の通りはほとんどなく、他とは違う重苦しい空気が漂っていた。
「……この辺りか……」
緒方はそこに何か感じるものがあった。
緒方洋一……職業は……探偵。
そう、緒方は日穂里駅近くの路地裏に事務所を構える探偵である。
普通の探偵と少し違ってはいたが……
探偵といえば、行動・信用・身辺・行方・犯罪……こういった調査依頼を受けるものである。
だが、緒方は、自分の決めたルールに従って依頼を受けていた。
そのルールの一つが……「MIND」。