「いや……たかが人間一人を確保するのに、これだけの人数・装備が必要なのかと思ってね」 「さぁな、上の考えなんざ、わからんよ。だが、それだけMIND……そのドラッグは機密性が高いってことじゃねえのか」 「MINDか……」 この会話の中で、嫌な予感がしたことを彼自身が自覚していたならば、その後の未来は変わっていたのかも知れない。 そして、それは現実のものとなって彼の目の前に提示された。 すでに研究施設は炎上……そして件の遊戯機器施設……そこもまた大きな被害を受けていた。 そこは既に戦場だった。 それも、たった一人の人間に、たった一人のドラッグ中毒者に……それは作られたのだ。 その人間は、あらゆる攻撃を弾き返し、考えられない力で建物を破壊し、どこかから入手した銃を乱射し殺戮行為を繰り返した。 いや……もう、それは人とは呼べない……異質者と呼ぶべきであった。