彼は、その異質者と対峙していた。
周囲には何人もの仲間が横たわっていた。息はしていない。
彼以外の生存者は……すでにいなかった。
もちろん、何もしなかったわけではない、何もできなかっただけである。
訓練では決して学ぶことができない実戦。
そのことが「躊躇」を生んだ……躊躇なく人を撃つという行為、それができる人間はいない。
それができる人間は、人間ではない……
遊園地の来場者にも多大な被害は出ていることは予測ができた。
彼は妻と娘が無事であることを願い信じていた。
「無事でいるに決まっている……そうだ、もう避難しているはずだ……」