episode4/第四夜

彼は、その異質者と対峙していた。 周囲には何人もの仲間が横たわっていた。息はしていない。 彼以外の生存者は……すでにいなかった。 もちろん、何もしなかったわけではない、何もできなかっただけである。 訓練では決して学ぶことができない実戦。 そのことが「躊躇」を生んだ……躊躇なく人を撃つという行為、それができる人間はいない。 それができる人間は、人間ではない…… 遊園地の来場者にも多大な被害は出ていることは予測ができた。 彼は妻と娘が無事であることを願い信じていた。 「無事でいるに決まっている……そうだ、もう避難しているはずだ……」

back
next