彼が未だに「躊躇」しながらも異質者に向けて銃を構えた。
それに呼応するかのように、異質者は何かを投げつけるしぐさを見せた。
その瞬間、全身にこれまでに味わったことのない衝撃をうけ、彼は地面に叩きつけられていた。
「グハァ……」
口の中に味が広がった。
鉄の味、血の味……味覚、人が持つ五感の一つ。この感覚があるならば、まだ生きている証拠だ。
冷静にそんなことを考えながら、彼はゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡した。
そして、彼の目に、望んではいない最悪な現実が映し出された。
「まさか……そんな……」
彼はゆっくりと近づき、そしてひざまづき、何かを抱き上げた。